JaSST ソフトウェアテストシンポジウム

JaSSTソフトウェアテストシンポジウム

JaSST'13 Kansai セッション概要

1-1) 基調セッション

9:55-10:45 (50分) 技術交流室

セッション 1-1

「実験的アプローチによる現場改善」

写真:細谷 泰夫氏

細谷 泰夫 (三菱電機)

セッションの内容

ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、そのコンテキストが他のプロジェクトと「全く同じ」になることはありません。
開発対象や、メンバー、客先、その時の世の中の背景、などにより異なるコンテキストに対して開発の都度、コンテキストに合ったやり方を構築し実行する必要があります。また、一つのコンテキストにおける開発を成功させる方法は単一でなく複数存在します。
つまり、「絶対的な正解」は存在しないのです。
このような背景から、過去のやり方にとらわれずに「もっと良い方法はないか?」を常に問い続け、自分達にとって新しいやり方を実行し、自ら継続的に改善できるチーム作りをしたいと思い様々な試みをしてきました。
本講演では、そのようなチーム作りの方法の一例として、実験的アプローチによる現場改善の事例を紹介します。

講師プロフィール

三菱電機 通信機製作所

通信システムにおけるソフトウェア開発に従事。アジャイル開発は 2003 年から取り組んでいる。
レビューやソフトウェアテストにも関心を持っており、コミュニティを中心に活動している。

  • アジャイルプロセス協議会テスト・レビューWG リーダ。

2008年 翔泳社「JUDEで学ぶシステムデザイン」
2013年 ソフトバンククリエイティブ「わかりやすいアジャイル開発の教科書」(共著)

1-2) 基調セッション

10:55-12:05 (70分) 技術交流室

セッション 1-2

「開発手法の開発へと繋がる現場改善の歩み
  ~自律オブジェクト指向(AOO)開発の裏側~」

写真:岩橋 正実氏

岩橋 正実 (三菱電機メカトロニクスソフトウエア)

セッションの内容

組織的な品質改善には、テストで検出した不具合の発生源を特定して、安定して不具合を作り込まない手法の確立が重要です。しかし、組織的な品質改善活動には様々な障壁があります。この障壁を乗り越え、開発現場の課題解決から手法論確立に至るまでの歩みを実際の経験に基づき解説します。

更に、組込みソフトウェア開発の現場において発生する課題と課題解決のポイントを自律オブジェクト指向(Autonomic architecture base Object-Oriented development technique)に基づいて解説します。

講師プロフィール

三菱電機メカトロニクスソフトウエア
和歌山支所 副支所長

複数の企業で民生、宇宙、防衛の組込みソフトウェア開発に従事して三菱電機メカトロニクスソフトウエア株式会社 和歌山支所 入社。
その後同社名古屋事業所を経て和歌山支所副支所長

組込みソフトウェアの受託開発、手法を用いたプロセス改善を社内外へ提供中。
組込みソフトウェア開発業界の活性化のために開発現場からの視点の最新技術の実用化手法や新技術の確立及び展開・育成が主な活動領域

  • 経済産業省 組込みソフトウェア開発力強化委員(スキル、プロセス委員)を経て、現在、SEC開発管理技術部会/安全ソフトウェア構築技術部会 委員
  • NPO法人 組込みソフトウェア管理者・技術者教育研究会(SESSAME)会員
  • ETロボコン 関西 実行委員

1998年 CQ出版 特集 オブジェクト指向で制御システムを実現する手法
2002年 TECH I Vol.12 CQ出版「リアルタイムシステム実現のための自律オブジェクト指向」
2009年 情報処理学会 オブジェクトの自律化と競合解決に基づく組込みオブジェクト指向開発手法の提案

2-1) 奈良高専セッション

12:05-12:15 (10分) 技術交流室

セッション 2-1

「元気なら組込みシステム技術者の養成のご紹介」

写真:土井 滋貴氏

土井 滋貴 (奈良工業高等専門学校)

セッションの内容

「元気なら組み込みシステム技術者の養成」事業は奈良高専の地元奈良県を中心に、中小企業を数多く抱える周辺の東大阪市、八尾市、京都府南部までを対象にして、組み込みシステム技術者の育成を行ってまいりました。
文部科学省科学技術戦略推進費実施期間中(2007年-2011年)には100社を超える企業から300余名に受講頂きました。
2012年度からは新体制で継続しています。
また、修了企業コミュニティ「GENETコミュニティ」が発足し、組み込みシステムの分野での様々な交流を進めています。

「元気なら組み込みシステム技術者の養成」
http://www.genet-nara.jp/
「GENETコミュニティ」
http://genet-community.org/

講師プロフィール

奈良工業高等専門学校電気工学科准教授、専門は信号処理、2007年より社会人向け技術教育事業「元気なら組み込みシステム技術者の養成」に携 わる。
最近は3Dプリンタに代表される新しいものづくりの枠組みに注目している。

ランチセッション

12:25-13:45 (80分:Lunch) 技術交流室

※休憩中に、ランチセッションを開催いたします。
※昼食は主催者がご用意いたします。

 

「開発体制から独立したテスティングサービス」

Ketaki Padhye (コグニザントジャパン)

セッションの内容

開発体制から独立したテスティングの活用利点と国内事例紹介

「脱!トラブルプロジェクト!!
テスト専門会社ならではの上流工程支援」

保科 秀之 (SHIFT)

セッションの内容

テスト専門会社として、数々のトラブルプロジェクトを目の当たりにし、ご支援してきました。
トラブルプロジェクト撲滅のためには、上流工程から品質を作り込む必要がございます。
テスト専門会社ならではの上流工程支援についてお話します。

「オフショア活用の検証サービス
~Neusoft 会社紹介」

渡辺 裕人 (NEUSOFT Japan)

セッションの内容

NEUSOFT は中国 No.1 の IT リーディングカンパニーで、検証業務においても 10 年以上の経験があります。
瀋陽、大連の拠点は日本からのアクセスも良く、日本語の分かる検証技術者を多数揃えており、日本企業からのご依頼を数多く成功させてきました。
弊社の特色として、開発チームと協調し、弊社内部で自主的に改善・お客様へ提案しながらテスト設計・品質向上・コストダウン・評価プロセスの改善を継続的に図っている点は高く評価されております。
そこでオフショア検証に関して、弊社の会社紹介をさせて頂きます。

「Javaの網羅率測定ツール(JSystemCoverageシリーズ)ご紹介」

後藤 三佳 (富士通)

セッションの内容

JSystemCoverageシリーズは、Javaアプリケーションのテスト状況を"見える化"(数値化)するツールである。
単体テスト用ツール『JSystemCoverage for Unit Test』と、結合テスト・総合テスト用ツール『JSystem Coverage』の2種類のツールがあり、テスト品質の信頼性向上を強力に支援することができる。

「継続的フィードバックによる品質運営」

長沢 智治 (日本マイクロソフト)

セッションの内容

今回で、4年連続4回目となるマイクロソフトからのランチショーを行います。継続的にフィードバックを受け入れる現場における品質の扱い方や、今までとの相違などについて見ていきましょう。

「モデルベースのテスティングツールによるテスト品質向上とテスト工数の削減」

佐藤 和浩 (TIDAコンソーシアム)

セッションの内容

TIDAコンソーシアムは、ユーザ中心の製品開発プロセスを支援するためのテスト支援ツールを開発し、そのツールを活用したサービス基盤を構築している。
TIDAが開発したテスト支援ツールは、自動で状態遷移表からシステムの状態遷移パターンを抽出し、テストシナリオを生成できる。
これら自動化によりテスト工数削減や品質の高いテスト設計が可能である。

3-A1) 事例発表1 - ユーザ中心設計セッション

13:55-15:05 (70分) 研修室B/C

セッション 3-A1

「ソフトウェア開発におけるUCD手法の活用」

渡辺 英範 (HCD-Net関西支部(京セラ))

セッションの内容

使いやすいソフトウェアを開発するためには、ユーザの利用状況、有効性、効率性、満足度を考慮して設計する必要があります。

魅力的なユーザ体験を設計する手法でもあるUCD(User-Centered Design)手法について解説し、ソフトウェア開発のどの段階でUCD手法が活用できるのかについて考察します。

3-B1,3-B2) 事例発表1 - テスト自動化セッション

13:55-15:05 (70分) 技術交流室

セッション 3-B1 (35分)

「ようこそ、TABOKの世界へ」

前川 博志/井川 将 (TABOK(テスト自動化知識体系)勉強会関西)

セッションの内容

ここ数年でテストの自動化はかなり一般的なものとなってきました。
そういったなかで、テストの自動化によって様々なバラ色の未来を夢見ている方は多いのではないのでしょうか。
しかし、自動化もまた「銀の弾丸」にはなり得ません。
自動化ができない場面、自動化ができたとしてもコスト的に割に合わない場面、そもそも自動化する以前にテストプロセスに欠陥がある場面など、むやみに自動化すると問題を余計に複雑化し、コストだけを費やす結果となります。

我々はTABOK(テスト自動化知識体系)から「テスト自動化における誤解」、「知識レベル」、「自動化エンジニアのロール」を学びました。
ここから、テスト自動化を含めた環境を大きなシステムと捉えて、それが求める品質やコストを実現するために、「自動化」という手段をどう適用すればいいのかの考え方を紹介します。

セッション 3-B2 (35分)

「システムテスト自動化環境を構築してみた!
~組込みシステムでの自動化の考え方~」

水野 昇幸 (WARAI 関西ソフトウェアテスト勉強会実行委員)

セッションの内容

ひとことに「テストの自動化」とはよく言ってしまいますが、実際に「何を」、「どうやって」自動化すればよいでしょうか?
対象によっては現場への適用が難しいと感じている方もいるかもしれません。
費用対効果を考えると全てを自動化することは得策ではないでしょう。

本事例発表では、連続稼働が必要な組込みシステムにおいて、システムテスト自動化環境をボトムアップ的に構築した経験を元に、システムテスト自動化を現場に適用する際に考えるべき2つのポイント
「何を自動化すべきか…テスト設計の考え方を活用して、自動化の対象を決めること」
「どうやって自動化すべきか…テスト自動化の環境構築、ツール適用時に考慮すること」
について紹介を行います。

3-C1,3-C2) 事例発表2 - テスト実践セッション

15:15-16:25 (70分) 技術交流室

セッション 3-C1 (35分)

「テスト設計コンテストから現場での実践へ
~実開発でやってみた~」

野中 成夫 (WARAI 関西ソフトウェアテスト勉強会実行委員)

セッションの内容

今年1月、JaSST'13 Tokyoにて開催された「テスト設計コンテスト 本戦決勝」に「たからづかてすと団」として出場した。出場までの約半年間、様々なテスト設計手法、テスト技法に触れ、勉強し、テストについて考えた。
参加メンバーと手伝ってくれた面々の、この経験をコンテストのみで終わらせてしまうのはもったいない。そんなところに、実業務でちょうど同じくらいの規模感の案件があったため、学んだ内容を実践してみることにした。
今回はその中からポイントをいくつかお話してみたい。

セッション 3-C2 (35分)

「Webツールを用いたテスト実施及びテスト管理の取組み(中)
~脱Excel 、、Webアプリ連携による有効活用~」

田中 学二 (デジタル・インフォメーション・テクノロジー)

セッションの内容

現在、ソフトウェア開発が多拠点/多国化する中で、ソフトウェアテストに関しても多拠点で複数のエンジニアがテストを行う事が当たり前になっております。その中で、テストケースの管理をエクセルのみで行う事が困難な状況やテスト管理が十分に出来ない状況が少なからず発生しています。

そこで、Smart test management system(通称:STMS)という、Web上でテストケースの実施及び進捗管理が可能なツールを開発してみました。現状ではExcelを活用している現場が多いことから、ツールへの移行がしやすいよう、Excelからのインポート、エクスポート機能も実装しております。

本ツールはWARAI(関西SWテスト勉強会)やテスト設計コンテストに出場して得られた知見をもとに少しずつ改良を行い、継続的に拡張させ構築を行っております。

今回は、Webツールを用いたテスト実施、テスト実施の取組みとして、実際に得られた気付きとツールへ展開を実施した内容について紹介します。

3-D1,3-D2) 事例発表2 - ツール活用セッション

15:15-16:25 (70分) 研修室B/C

セッション 3-D1 (35分)

「ソフトウェアの品質向上に資する、開発・運用現場の情報管理」

赤羽根 州晴 (島津ビジネスシステムズ)

セッションの内容

ソフトウェアシステムは複雑化し、ネットワークをまたいだ相互作用によって稼働する巨大な仕組みとなっている。システム稼働後も多くの変更が加えられ長期間にわたって運用され続ける。システム全稼働期間中の品質維持を考える時、各工程の現場で生じる情報群(要求背景・経緯・人・意思決定・資料・成果物)の逸失と関連性の断絶が品質劣化に拍車をかけ、効率的な評価を妨げているとは考えられないだろうか。

→ 不確かな記憶 / 断片・陳腐化した文書 / 散逸する電子Mail / 人員異動による「記憶」の喪失

株式会社 島津ビジネスシステムズでは、島津製作所グループの業務システム開発・運用を少人数で実現するなかで、専用の課題管理システム(ITS:Issue Tracking System)の導入によりシステム障害を減少させ、業務の処理効率を向上させつつある。業態や対象領域によって焦点こそ異なるが、人間とソフトウェアシステムが深く関わる場所には底通する問題があると考え、対策実践の一例として経験を発表したい。

セッション 3-D2 (35分)

「リスク駆動開発で、SPIN初実践とその成功
~チームソフトウェアプロセスとふりかえり~」

徳 隆宏 (オムロン)
山内 美絵子 (オムロンソフトウェア)

セッションの内容

マルチスレッド・状態遷移・タイミングの3要素組み合わせに起因する不具合の予防・検出を、UMLによるモデリングやテスト過程で検出することは難しい。要するに1つのリスクである。このリスクをモデリング過程の初期において軽減または撲滅するため、結果的に私の開発チームではモデル検査ツールを検討し、SPINを初利用・導入した。
当初は設計プロセスとしてUMLによるオブジェクト指向設計を前提としたプロセスに従っていた。が、振り返りに基づき、その途中でプロセスに変更を加え、SPINを初めて導入することを決定・実践した。UMLモデルを作成したあとSPIN導入を前提とした場合、UMLを機械的に変換する道もあるが、アーキテクチャ上の側面のみをSPINにてモデル化・検査する道を選んだ。

本発表では、プロジェクトの概要およびモデリング対象の概要等を簡単に紹介し、その実践内容とともに2つの視点での振り返りをご説明する。1つはチームリーダー視点として、リスク分析、選定理由、費用対効果、チームとしての蓄積である。もう1つは実践者として、初めてSPINを経験したこともふまえ、どのような課題に直面しどのように対処してきたか、楽しかったかである。
なお、詳細なSPINの利用方法や文法規則などは本発表ではお伝えしない。その場合は関連文献などを調査していただいたほうが効率的かと思われる。

4-1) ふりかえり企画

16:50-17:40 (50分) 技術交流室

セッション 4-1

「聞いてみよう、共有しよう、広げよう!」
JaSST Kansai Cafe/Clinic パート1
ふりかえり&代表質疑応答

セッションの内容

1日の間、事例発表を聞いてみると「自分の現場とは前提の開発条件が違うので出来ない」、「現場でやってみたいが上手く導入するのは難しいだろう」と感じられる方がいるかもしれません。
その感じられた内容をアンケートに記入して帰るだけでは、皆様の疑問は解決できません。また、講演者を含めた有識者に、日頃の悩みを相談してみたいと思うこともあるのでは無いでしょうか。

今回、JaSST Kansai'13では参加された皆様の当日発表に対する疑問や現場の悩みを一度整理して頂き、講演者を含めた有識者との交流・質疑応答を通じて現場改善への気づきに繋げてみよう、というセッションを用意しました。

前半となるパート1では、JaSST Kansai'13当日におけるふりかえりと疑問点の整理、代表的な質問に対する質疑応答を通じて、皆様が感じられている疑問点に対して一度整理して頂くという内容を予定しております。 一度、皆様が感じている疑問を見直して、本当の課題を発見してみましょう!

情報交換企画-1,2

17:50-19:30 (100分) 技術交流室

  (55分)

「聞いてみよう、共有しよう、広げよう!」
JaSST Kansai Cafe/Clinic パート2
情報(質疑)交換会

  (45分)

「聞いてみよう、共有しよう、広げよう!」
JaSST Kansai Cafe/Clinic パート3
フリー情報交換会

情報交換会について

「Cafe/Clinic」は参加された皆様の当日発表に対する疑問や現場の悩みを一度整理して頂き、講演者を含めた有識者との交流・質疑応答を通じて現場改善への気づきに繋げてみよう、というセッションです。

後半となるパート②では、「Cafe」という名前がついているとおり、軽食をとりながら講演者を含めた有識者に対して直接質疑や相談が出来る場を用意します。当日の疑問や現場の悩みを共有しつつ、講演者や参加者間の交流も広げてみましょう。

「聞いてみよう、共有しよう、広げよう!」というタイトルのように、皆様の疑問や悩みの共有を通じて課題解決のヒントが見つかり、皆様の現場へと広がる「やってみよう!」という改善の推進力に繋がるのであれば幸いです。

パート②の時間帯は、「質疑応答のみ」というルールを設ける予定です。
パート③の時間帯は、フリーの情報交換会となります。
※本セッションでは、軽食を用意しますので追加料金(500円)が必要となります。ご了承願います。