セッション 0
中岫 信(JaSST Hokkaido 実行委員会)
本セッションは、開催のあいさつ、会場説明、諸注意の連絡を行います。
また、会場の場づくりのアイスブレイクセッションにもなります。本セッションに参加しないと、他のセッションがわからない、ということはありませんので、お気軽にご参加ください。
[写真]左:司会:上田 / 右:オープニング:中岫
セッション 1
池田 暁(ASTER)
日々の業務でテスト設計技法を上手く使えないと相談を受けることが少なくありません。相談者は決して努力していないわけでは無く、テストに関する研修を受けたり、書籍を読んで勉強をしたりしています。それにもかかわらずそのような悩みを持つ方がいらっしゃいます。テスト設計技法を上手く使うためには、テスト設計技法そのものの理解を深める以外に、事前にやっておくべきことや考慮すべきことがあります。テスト設計技法を使う局面という足下だけを見ていても難しく、顔を上げてテストプロセス上の"それ以前"、つまりテスト分析設計に目を向けることが大切です。そして、顔を上げるだけではなく、テスト分析設計はもちろんテストそのものに取り組むための技術力向上が必要となります。それらに取り組む先で、テスト設計技法をうまく使うためのマインドが得られることでしょう。
本基調講演では、JaSST'19 Hokkaido のメインテーマである「マインドアップ」につなげていくために「フェイスアップ」「ビルドアップ」という観点から、これまでの自身の経験も交えながらお話しいたします。
「フェイスアップ」パートでは、テスト設計技法を上手く使うために、テストプロセスの視点から、事前に取り組むべきことについて、2019年4月に発行した「[改訂新版]マインドマップから始めるソフトウェアテスト」をベースにお話します。
「ビルドアップ」パートでは、テスト設計技法を高度に使えるエンジニアになるため/育てるために活用できる技術やコミュニティ等を紹介し、今後どのように取り組んでいくべきかを考えます。
90分という短い時間ですが、一緒に「その先のマインドアップ」の姿を捉えましょう!
池田 暁(ASTER)
情報通信系某社にて組込みシステムの設計、品質保証業務を経て、技術支援部門にてテスト技術を中心にアジャイル開発やMBD/SPL等の導入を支援。その後所属を移し医用系機器開発プロジェクトに参画、テスト管理業務やプロセス活動に従事。
昨年日立オートモーティブシステムズ(株)に所属を移し、全社を対象としたテストプロセス改善や研究による新技術導入、教育や社内イベントでの技術力向上に取り組んでいる他、テスト自動化チームを率いてプロダクトの品質確保や効率向上、技術高度化に取り組んでいる。
そのほか、日立グループ横断部会活動のテスト分野主査としてグループ全社のテスト技術力向上や技術者育成活動に取り組んでいる。
社外においてはNPO法人ASTERや技術コミュニティに所属し、国内でのテスト技術の普及啓発に取り組んでいる。ASTER理事,NaITE代表、SQiP運営委員,AFFORDD運営委員等。
著書:
『[改訂新版]マインドマップから始めるソフトウェアテスト(共著)』、『SQuBOKガイド(共著)』,『ソフトウェアテストの基礎(共訳)』等。
セッション 2
ポスターセッション出展者から展示概要をご説明します。
セッション 3-1
生井 龍聖(チームスピリット)
チームスピリットではアジャイル開発での開発を行っており、品質の作り込みについてはチーム一丸となって取り組んでいる。
発表では、開発チームの人数規模を形成期、統一期、現在と3つの段階に分け、課題はそれぞれの時期で異なっており、それぞれ違った対応を行った。
立ち上げ当初のチームはQAエンジニアがおらず、全体的な品質保証体制の構築が必要だったため、形成期の課題は「アジャイル開発における品質保証体制が未整備」があった。
統一期には「人数増加に伴う仕組みづくり」が課題であり、個人での品質保証体制からチームでの品質保証体制に移り変わる必要があった。
そこで形成期にはQAとスクラムマスターの兼務を行い、スクラムプロセスと開発プロセスを合わせて改善を行い、統一期にはチームとしての仕組み化・標準化を取り組むことで人数が増加できるチームに変化させた。
アジャイル開発における品質保証の立ち上げ・取り組みの事例は様々なアプローチがあると考えているため、事例の一つとして共有したい。
キーワード:
アジャイル開発、QAチーム立ち上げ
中川 純貴(日立製作所)
現在,様々な分野でAI(Artificial Intelligence)活用が検討されているが,AIの品質保証技術はAIの開発技術の進展に追随できていない。
AIの品質保証を困難にしている大きな原因は,AIモデルが学習データによって帰納的に作成されるため,明確な入出力の仕様が存在しない点である。AIモデルの検証では,従来のテスト設計でいう検証(Verification)はできず,また妥当性確認(Validation)でも入力と出力結果からの妥当性判断が難しいため,アイディアを出し合い,試行錯誤しながらテスト設計を検討していく必要がある。
そこで本報告では,AI技術の一つであるDL(Deep Learning)を搭載した帳票認識ソフトウェアの品質確保に向け,我々が取り組んだテスト設計について報告する。近年,AIのテスト技法として注目を浴びているメタモルフィックテスティングの考え方も取り入れた施策であり,今後のAI品質保証技術の進展に繋がる報告になると考える。
キーワード:
AI搭載ソフトウェアの品質保証,Deep Learning,帳票認識技術,メタモルフィックテスティング
セッション 3-2
町田 欣史(NTTデータ)
バグ検出の有効な手法として探索的テストの活用事例が増えている。
探索的テスト未経験者にその効果を訴える方法はいくつかある。
最も有効な方法は、バグを埋め込んだシステムを用意して、実際に探索的テストを体験してもらうことであろう。ただ、これにはシステムを動かす環境が必要という条件がある。
筆者は、パソコンを持たない聴講者に探索的テストを説明するため、紙の資料のみで探索的テストを体験できる方法を検討した。
そこで、30年ほど前に流行った「ゲームブック」をヒントに、探索的テストの疑似体験ができると考えた。
具体的には、テスト条件、テスト結果、そして次に行うテスト条件の選択肢をPowerPointの1ページに記述する。
書かれた情報を基に、読者はいずれかの選択肢を選ぶ。進んだ先のページにはまた同様の情報があり、テスト結果が「バグ」になるまで次々にテスト(探索)を進めていく。読者が対象システムの仕様を理解しやすいように、実在する有名なWebアプリを題材とした。
テスト条件の選択肢を与えてしまうため、探索する方針を自ら考える訓練には使えないが、バグを探索する気分を味わうという点では十分であるという感想を聴講者から得られた。
キーワード:
探索的テスト、研修、教育
狩野 薫(リコーITソリューションズ)
ソフトウェアテストの現場では、テスト設計の際に、テストベースが不十分だったり、設計者の協力が得づらいなどの問題で、テスト対象の絞込みが難しく、探索的テスト等を追加する対応がとられる。
しかし実際には開発の短期化によりテスト期間が十分確保できず、結果的にバグ検出に繋がるテストが行えないことが多々ある。
そのためテストベースや設計者に頼らずに、簡単にバグ混入箇所を予測することが課題となる。
そこで我々は、複雑度とバグ密度の相関に関する研究を応用した欠陥発生のリスク評価方法をテスト設計に用いることで、この課題を解決した。
この方法は、構造解析ツールを通してソースコードから得た一般的な複雑度の組み合わせのみでコンポーネント単位で欠陥発生リスクを評価するとともに、ソフトウェアモデル上で可視化し、テストすべき範囲の絞込みを容易にしている。
本発表では、欠陥発生リスクの評価方法及び活用事例について紹介する。
キーワード:
結合テスト、テスト設計、ソフトウェア構造解析、ソフトウェアメトリクス、ソフトウェアモデル
常盤 香央里(グロース・アーキテクチャ&チームス)
ソフトウェアテストの合宿形式ワークショップ【WACATE】は、グループワークを主とし、他者との違いを有効活用して、お互いに学びを深めるという、講義形式のみや個人ワークだけでは得られない効果を期待している。
グループワークがプラスに向かうようにするには、ベテラン参加者の運営力や実行委員によるフォローが欠かせない要素となっている。しかし、これらの当日の現場対応には不確定な要素も多い。
そこで、2018夏の開催からは仕組化による対応を目論見、新たに『班のガイドライン』を導入した。
これは、グループワークでの学び合いを加速させるためのちょっとした仕掛けである。
15分程度のチームビルディングを兼ねた仕掛けが、2日間に渡るグループワークの運営にどのような効果をもたらしたかを論じる。
また、この事例を元にしたワークショップ以外への適用の可能性についての提案も合わせて行う。
キーワード:
WACATE、ワークショップ、加速、チームビルディング、ソフトスキル
14:10~15:00 (50分)4F 研修室402(ポスター展示会場)
セッション 4
スポンサー企業様、及びコミュニティの皆様による技術情報発信のためのポスターセッションになります。
また、シンポジウム当日の発表者の方々との質疑応答の場や、参加者との交流を図る場の提供も予定してます。
是非とも積極的に活用いただいて、講義を聞くだけでは分からなかった疑問点の解消や、新しい考えを産むためのディスカッション、そして新しい仲間を作るためのきっかけとして活用して下さい。
[写真]ポスターセッションの模様
セッション 5-1
ワークショップ講師:
下浅 大輔(テクノラボ)
情野 吉紀(JaSST Hokkaido 実行委員会)
水野 昇幸(JaSST Hokkaido 実行委員会)
これらを問題と感じたことがある方へ向け、テストスイートモデル(テストケースの構造をモデルで表現したもの)を使ったテスト設計の体験会を用意してみました。
テスト全体を創造的に表現しテスト設計技法や観点をより活用するモデリングの一部を体験してみましょう!謎のカタマリーをちょしてマインドアップへ!!!
※「ちょす」は北海道弁で「触れる、さわる」などの意味を持ちます。
セッション 5-2
ワークショップ講師:
吉田 絵理(日本ナレッジ)
金丸 優介(日本ナレッジ)
ワークショップTA:
岡野 麻子(NaITE)
角田 俊(NaITE)
チュートリアル講師:
池田 暁(ASTER)
効果的なテストを行なう上で、テストケースは、対象となるソフトウェアやその時々の状況において戦略的に作成する必要があり、そのための分析や設計作業が重要です。
ところが、この作業はどのようにすすめ、またどのような手法を使ったら良いかわからないという悩みを聞くことが多くあります。
近年ではこのような悩みを解決するために、マインドマップを応用した手法など、様々な手法が提案されています。
本セッションでは、そんなテスト分析設計をどうやったらよいかわからないという悩みを持つテスト初心者を対象に、テスト分析設計についてマインドマップを使った体験エクササイズを行います。
本ワークショップは実際の業務でもテスト分析設計に取り組んでいる経験豊かなJaSST札幌実行委員が講師が担当します。
また、チュートリアルには今年4月に「[改訂新版]マインドマップから始めるソフトウェアテスト」を出版した池田氏にご担当いただきマインドマップを使った手法を解説いただきます。
マインドマップを使った分析と設計の基本を体験して身につけましょう!
テスト分析設計を創造的に! マインドマップを使ってマインドアップ!!!
セッション 3-3,5-3
ポスターセッションではスポンサー様のブース、道内コミュニティ活動の紹介ブースがあり、展示/プレゼンを行います。
セッション 6
原 弘治(当麻町地域おこし協力隊/家具職人 /北海道認定木育マイスター)
木材という素材は身近ではあるが、山で切られた一本の木は、どのようにして生活の道具となり使い手に届くのか知る機会はあまりありません。
北海道では2004年に『木育(もくいく)』という言葉が作られました。日本の森林面積の1/4を占める北海道の森林の価値を広義に道民とつなげようという動きです。
木育マイスターとして林業と木材産業、自然と人の繋がりについてご紹介します。
また、家具職人としては、自身のものづくりにおけるデザインの発想方法や製作のプロセス、見て盗む職人修行とこれからあるべき職人教育についてお話させていただきます。
原 弘治 (当麻町地域おこし協力隊/家具職人 /北海道認定木育マイスター)
北海道札幌市出身。
旭川高等技術専門学院にて家具づくりを学び、在学中に開催された「第41回技能五輪全国大会 家具部門」において金賞を受賞。
25歳の時に開業。個人事業にてオーダーメイド家具・店舗什器の製造を経験。
GAUZY CALM WORKS(現 株式会社 ガージーカームワークス)の工場長として勤務したのち、2017年4月より北海道当麻町地域おこし協力隊に着任。
旭川大学横田ゼミナールのゼミアドバイザーとして学生と共に木を伐るところからの家具づくりなど、幅広く活動している。
自身も当麻町に2haの森「IKAUSI CLASS」持つ。山林の中で自然に寄り添い、料理や木工を楽しみながら、ちゃんと"暮らす"を学べる場づくりに奮闘中。
セッション 7
中岫 信(JaSST Hokkaido 実行委員会)
今年もあります!!実行委員企画。こうご期待。
そして、2020年の開催は…。
[写真]閉会挨拶:委員長:中岫
[写真]JaSST'19 Hokkaido 会場にて
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